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人にとって作物とは?植物の存在とは?めぐり合わせで果樹栽培を営むことになった信州のとある農業者が思うこと
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予報どおり、今日は狂ったような南風が須坂市でも吹き荒れた。

”生きた心地がしない”とか、”寿命が縮まる”とか。
そんな表現では足りないくらい今日はアスパラのハウスが心配で、本当に心配で、でも人間にはどうしようもなくて、かと言って開き直るには風の威力のすごさが気になって、ついには家すら危ないんじゃないかと思ったり。胸がキリキリと痛む一日だった。

昨日のブログで「大事に至りませんように」と書いて、今それが現実となっているのが、まだ半ば夢のようだ。午前中に夫と様子を見に行った時には、これまで経験したことがない風にハウスのアーチがしなっていて「今度こそヤバい」と心底思った。ビニペット(ビニールを固定するバネ)のレールがアーチから外れていて今にもビニールが破れそうになっているのを見つけた時の、こりゃ無理だ、と感じた恐怖。身の危険を感じながらも何とか二人で処置してその場を離れたが、処置がなかったらあのハウスだけは完全に損壊したに違いない。

やや風が収まった夕方、何でもなかったように佇むハウスを見た時には”安堵”というより”信じられない”という気持ちの方が強かった。よく耐えてくれたなぁとアーチをさすった。ほとんど奇跡だった。

かつては畏敬の念とともに暮らしたヒトも最近はどうだろう。”人間だけ”の世界に慣れ過ぎていないだろうか。リスクを承知でハウスという施設栽培をしていても、こんな思いはもう今年は勘弁してほしいな...と思っても、やっぱり猛威はまたやって来るのだ。人間の手の及ばない自然は恐ろしいが、”畏れ”を忘れたくない。

疲労困憊の一日が終わる。

明日の風は北か南か。




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ふぅ...

アスパラが始まるとやっぱり慌ただしいね。
今の収穫量は序の口なので、まだまだこれからなのだが。
読んでいない新聞がテーブルの上で増えて行く...

明日は春の嵐が吹き荒れそうだ。
強風に翻弄される日々が来たんだなぁ。

大事に至らず済みますように...!!




悪天候でなかなか外せなかったアスパラハウスのビニール。本日ようやく雨除け用のビニールに取替えることがが出来た!(これでやっと果樹の摘果に集中できる...)

今日は早朝からせわしなく、片付け時もむちゃくちゃ暑かった。よって、今宵はビールビールビール...。くぅーーーーーーっ!!ちょーーうめぇーーーーーーーー!!(また始まったよ。)と、二人とも人生思い残すことはないと思えるほどの至福を味わいましたとさ。

おしまい。


立茎中のアスパラも気持ち良さそう。(左は雨除けのビニールが掛かったところ)



アスパラも私の背丈ほどになった。立茎に見合わない茎は今も収穫してます。




できるだけの対策はしてあるのだから、あとは腹をくくるしかない。と、思っていながらも気が気ではない春の嵐。

ハウスを持つ身に、年に二度三度は降りかかる緊張の日。幸運にもまた難を免れた。ハウスのアーチとビニールにはよくがんばった!とねぎらってやりたい。(カーブに沿ってさすってやることしか思いつかないが...)引き続き、収穫と発送ができることに感謝である。

お届けを終えた方々からお礼のメールが届く。ありがたい。ご案内した皆さんはご存知だが、今年は昨夏の天候の影響もあり、畑の一部で収穫を中止している。この収穫しない状態が今年だけで済むことなのか、もう復活は絶望的なのか...それはまったく読めない。すべては、昨年の養分蓄積量がどの程度かにかかっている。

被覆をしていない一番左側のアーチ


アスパラには本当に申し訳ないが、こんな状況もあって、私たちのモチベーションはかなり低くなっていた。もうアスパラやめようか、なんて思いが何度もよぎった。でも、食べてくれた方の「おいしかった!」という声はいつ聞いても嬉しくて、だったら来年はもっと喜んでもらいたい!という気にさせてくれる。農家を一番やる気にさせるのは、市場でも卸でも小売りの人でもなくて、やっぱり食べてくれる人から直接聞く”声”や”気持ち”なのだ。私たちは消費者に育ててもらっている。

片や、消費者に農家を育てているという自覚はあるのだろうか。ただ安易に価格の安い方へ安い方へと流れてやしないだろうか。おカネでモノを買う時、そのモノが生まれる過程とか背景にお金を払っているという感覚になれる人がどれだけいるだろうか。”食べる”という一時の行為に、それ以上の価値を見出せる人はどれくらいいるだろうか。

育て、育てられ。
そんなサイクルがうまく行けばいいのにね。


汗をかいた日はビールが最高!!
(もうそんな季節になったんだなぁ...)

アスパラの発送は相変わらずじんわりと進んでいる状態。今日を境にそろそろウォーミングアップも終わってくれる頃だといいのだが...

そんな中、毎年うちのアスパラを食べて下さるHさんから「アスパラのピクルスのレシピ教えて下さい!」と連絡があった。毎年、発送するアスパラには農家的レシピをつけているのだが、2年前のピクルスのレシピをいたく気に入って下さったようでご自分でもよく作っていたのだが、何かに紛れてなくしてしまったとのこと。

Hさん曰く、ピクルスの漬け汁の割合がアスパラに非常に合っているとのこと。そして、ピクルスは時間の経過で味が変わってくるけれど、あの漬け汁だと何日もおいしくいただける、と。

じーん... +。:.゚ヽ(*´∀`)ノ゚.:。+゚

それほど気に入ってくれてたなんて、ありがたいことだ。毎年のレシピには実はちょっとしたこだわりがあって、まず『調理が簡単』で、さらに『特別な調味料をあまり使わずにできるもの』で『素材の味をシンプルに味わえるもの』ということ。アスパラと言うとよく”ベーコン巻き”とかパスタだったりするのだが、そういうレシピではなくてもっと旬をガツンと味わえて、食べると「うおーアスパラ!!」とか「う〜ん、アスパラ〜...」ってなるような(笑)そんなレシピを目指している。

だから、毎年苦労するのだ。しかし、これまでのレシピですでに出尽くした感があり...。4回目の今年、ついに禁断のレシピに手を出してしまった...(決して手を抜いているわけではなく)。レシピと言えるかは微妙だが、これぞ農家的レシピの真骨頂と言える...かも。ご期待下さい。

旬の味わいが、今年も皆さんの記憶に残りますように...!!


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管理人(ハナイ)
長野県須坂市に住む。夫と共に果樹の世話をして収穫して出荷・販売することが仕事。栽培品目はもも・プルーン・りんご・ぶどう・アスパラガス。趣味はMac、写真、庭に訪れるレア度の低い野鳥の観察、CSで撮りためた日本映画を夫と観ること。仕事以外はわりとインドアである。
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