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人にとって作物とは?植物の存在とは?めぐり合わせで果樹栽培を営むことになった信州のとある農業者が思うこと
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目覚めると障子の向こう側が白くて明るい。今年初めての、それなりの積雪。これでまたアスパラの片付け作業が遠のくと思うとがっかりだけど、何もかも白く覆われた景色はやっぱり好きだ。

あぁ早く冬支度作業を終わらせたい。(すでに真冬だが)
今年は年内にもみ殻くん炭...焼けるだろうか?



デスクそばの横長窓から




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慌てて穫り続けたサンふじの収穫がついに終了。

いや〜...みぞれの中でのりんご穫りなんて、初めて(笑)。昨日は途中で出荷用コンテナが足りなくなり、収穫を途中で切り上げた。それさえなければ今日の悪天候で収穫しなくても良かったのだが...。遅れに遅れた今年は最後まで何があるかわからない展開だった。まぁ、これ以上りんごが凍る前に収穫を終えられて本当によかった。これもいい思い出になるんだろう。

さて、昨日は「踊る〜FINAL」の最終日。二度も見るような映画でないだろうに、青春の”踊る”にさよならを!ということで、夕方またしてもシネコンへ車を走らせたのだった。行ってくれば?と言ってくれた夫に感謝しつつ。

劇中、青島が「室井さん、しびれるような命令をありがとうございました」という台詞がある。私の仕事に組織は無縁だけれど、しびれるような指示。しびれるような言葉。あったらいいのになぁ、と思う。

例えば、『温暖化対策は消費者も一緒に考えるから、農家はおいしいものを作ることだけに専念せよ』とか(笑)。または『しかるべき所にきちんと売るから、(以下同)』とかね。食べる人にも売る人にも、そんな風に言われたら、しびれること間違いなし!!まぁ...ないと思うが。

何はともあれ、本年の収穫もすべて終了。今年一年、当園の作物を食べて下さった方々。ありがとうございました。


私の結婚生活は「踊る」とともにあったようなもの。さらば青島、すみれさん、真下




冷たい雨が降った昨日、昨年より一日遅れて薪ストーブに火入れをした。今年のように暖かかった年でも、なんだかんだで薪ストーブが必要になる日は大してずれないものなんだ、とやや驚き。

暑いし不経済だし、という理由でしばらくは居間の照明も電球形の蛍光灯を使っていたが、なんとなく味気なくなってきたので久しぶりに後藤照明に切り替えた。このエジソン球もそのうち製造中止になってしまうのかな。節電だエコだと言って何でもかんでもLED電球と蛍光灯だけになってしまうのも、それこそ味気ない気がするのだが。

この季節、白熱球の温かみは捨て難い。






灯油ストーブがだんだん非力さを増すこの頃。夕げの熱燗や薪で焚いたお風呂の有り難さをあらためて感じる季節。

昨夜は町内の知人宅に招かれ、おいしい料理とお酒をごちそうになった。それほど量は飲んでいないのに今日は二日酔いらしい頭痛が続いた。おそらく冷酒がいけなかったのだろう、と思う。近頃の熱燗に慣れているせいかもしれないが、どうも冷えたお酒の分解が年々遅くなっているような気がしている。

若かりし頃、日本酒と言えば ”冷酒” が最高だと思っていた。ちょっと値の張る、冷えたのが飲み頃のお酒。もう10年以上前になると思うが、ある時、お酒を飲みながら「やっぱり日本酒は冷酒ですよね〜」なんて話をしていると、同席の年配の方が「いや、日本酒と言えば ”熱燗” だろ」と事も無げに言い放った。この時は単に好みの問題かと片付けていたが、今はあの方の言ったことに共感する自分がいる。

程よく温めたお酒のふわっと漂う香りと柔らかい口当たり。夏はともかく、外で冷えた身体を温めるのに最高なのはやっぱり”熱燗”なのだ。染み渡って血流を促すような感覚は冷酒にはない。なのに、たまに居酒屋に行ってもメニューにはブランドになっているような”どこそこの冷酒”ばかりが並んでいる。下手するとメニューに熱燗を載せていない店もある。(お願いすればたいてい出してくれるが)

初詣の場でキンキンに冷えたお神酒をいただくのは大好きである。冷酒とは、乾杯の席など、本来はそういった特別な祝いの酒であったのではないだろうかと想像する。まぁ、お酒自体がそもそも日常の飲み物ではないはずだが。いつから贅沢を贅沢とも思わないような食生活になってしまったのだろうね。

最近、冷酒がらみでろくなことがない私は、すっかり”熱燗体質”になってしまったのだと感じる初冬の夜である。


今朝、庭に面したロールスクリーンを上げると、霜が降りていた。草も野菜もうっすらと粉をふったように白く縁取られていて、思わず見とれた。



昨日も、やけに冷たい風が吹くと思ったら東も西も高い山はてっぺんが白くなっていた。今日も白いままだ。3000m近い場所ではついに冬が訪れたらしい。

今年の秋はいつまでも暖かく、シナノゴールドの収穫もまだまだ中盤といったところで、冬を感じるには早いような気がしていた。それでも、いつの間にか灯油ストーブを使っているし、冷たい風が入る北側の窓を開けることもほとんど無くなった。着々と次の季節が近づいているのだなと、どこかほっとした気分になる。

たしかシナノゴールドの収穫の終わり頃になれば、朝はキンキンに冷えたりんごが畑にいる。その頃にはきっと薪ストーブを使う日々になっているのだろう。そして、寒さに何度もあたったサンふじが真っ赤に色付いているといい...んだけど...(今年は着色の遅れが心配である)

農家は初冬になっても心配事が尽きないが、手で、目で、鼻で、季節を直に実感できることは幸せである。






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管理人(ハナイ)
長野県須坂市に住む。夫と共に果樹の世話をして収穫して出荷・販売することが仕事。栽培品目はもも・プルーン・りんご・ぶどう・アスパラガス。趣味はMac、写真、庭に訪れるレア度の低い野鳥の観察、CSで撮りためた日本映画を夫と観ること。仕事以外はわりとインドアである。
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