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人にとって作物とは?植物の存在とは?めぐり合わせで果樹栽培を営むことになった信州のとある農業者が思うこと
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4月になったが朝は氷点下から抜けきれない。
そのせいかここ数日アスパラの生育の進みが良くない。
地温はまだ春を迎えていないのか。

寒さに会った作物は甘みを増す。

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110401.jpgアスパラも旬だが、接ぎ木のシーズンでもある。

農業には常に何かを行うにあたっての「適切な時期」というものがあって、それを逃せば後々の作物の出来に影響を与えることになる。

原発事故による土壌汚染の恐れがあるとして、福島県は県内の全農家に農作業を当面延期するよう要請したという。水田を中心に土壌調査が行われているようだが、農家にとって作付けや作業の『延期』はほぼありえない。

ここ長野県でも今後の影響はわからない。それでも今は畑と向き合うことができている。可能性がある限り、今は今の作業を続けるのみである

土と水があってこその農業。やっと迎えたこの春という季節に、作物に関われるか関われないか。それは天と地、もしくは1か0か。そう考えただけで苦しくなる。

今日からアスパラの発送を開始した。
予定どおり開始できたことに感謝である。

福島では依然、原発の緊張が続いている。

新聞やインターネット程度ではあるがそれなりの情報を得て、自分がいかに原発というものに無関心だったかがわかる。放射線を出す物質を『放射性物質』といい、放射線を出す能力を『放射能』ということ。放射線にも種類があること。『シーベルト』は放射線を浴びた時の人体への影響を表す単位だということ。『グレイ』 『ベクレル』などの単位の意味。原子炉を冷やす仕組みのこと...。知らなかったことばかりだ。

現場では冷却のための懸命な作業が続けられ「なんとか食い止めている」状況だ。早く不安のない元通りの暮らしに戻りたいと思う。それは誰もが同じだろう。でも、「元通り」って何だ?関東の人々が不便を強いられている停電。でも、以前のような電力を賄うには、最低でも福島で稼働中だった原発と同じ数の原発がどこかに必要なのだ。そんな選択が今後の私たちにできるだろうか?

この先の暮らし方を考える。
今、そんな難題を突きつけられている。
110318.jpgアスパラの収穫が始まった。
量的にはまだ少ないがいよいよ収穫期の到来である。

地震から10日経っても被災地の苦しみと原発の困難は続いている。こんな中で例年のようにアスパラのご案内をしてよいものかどうか、迷った。でも、地震発生の数日後には「いや、こんな時こそ案内しよう」と心に決めていた。

地震が起きてから数日。知人はどうしてるだろう?地震の被害はどうなんだろうと気にかけていた時、益子に住むKさんから携帯の留守電にメッセージが入っていた。『こっちは皆元気です。そっちはどお?』と彼女のいつもの明るい声を聞いた途端、なんだが無性に嬉しくて嬉しくて、ふさいでいた気分が一気に晴れた。これまで通り農家はきっちりと作物を育てて提供すること、それこそがやるべきことなんだと。案内することを決めた瞬間だった。

その後、彼女と電話で話した時も『普段どおりやってよ』と言われた。また、宇都宮で家屋に被害が出たNさんはアスパラの注文を下さった際に『無事な人間が経済を回していくことが日本再生につながると思う』と一言が添えてあった。さいたま市のYさんは『是非、元気になる食べ物を絶えることなく提供して下さい』と。何の不便もなく暮らす私たちが逆に励まされているかのようだと思った。

毎年注文を下さる方でも今はそんな気分ではないのかもしれないし、それも当然だと思う。だからこそ、こんな混乱の中でも「食べたい」と思って下さる方々に、精一杯報いたい。今の日本には不安材料が多いけれど、家族や友人との食事で一瞬でも喜びを感じられるような、そういうものを送りたい。これまで以上に強く思う。
今日になって千葉や栃木の友人から連絡があり嬉しく思った。自身の周辺が大変な時に、こちらのことも心配して下さったようだ。

わが家での被害は皆無。未明の二度の強い揺れは、須坂で震度3と発表されていたけれど実際は4程度に感じられた。地盤の違いによっての差もあるのだろう。今も時々余震があるけれど、ほとんど感じないような程度のもの。以上、昨日きちんと書けなくてすみません。

被害があったであろう場所に住む人たちに対して「大丈夫?」とは軽々しく聞けない。もし大丈夫じゃない状況だったら...?そんな時にかける言葉こそ軽々しく発することができないからだ。身内ならともかく、たとえどれだけ心配でも、自分の安心のためだけの言葉はなるべく慎みたい。だから、今日のように本人が落ち着いた頃に連絡をくれたことが何より有り難かった。

昨日と今日。畑で枝を拾いながら悶々としていた。たぶん日本の多くの人が思っているように、自分がやるべきことは何だろう、できることとは何だろう、と。志賀高原の、あの白くそびえる横手山の遥か向こうに、困っている人がたくさんにいる。そう考えるだけで胸が締め付けられるようだった。

でも、私がやるべきことは、今この場所で、自分の仕事をしっかりこなすことなのだろう。農家がきちんと作物を育てること。そして、お金。義援金としてお金を使うことができる。あとはいざという時に何かしらの援助ができるよう知恵を持つことも必要なのかもしれない。

菅総理が昨夜使った「国難」という言葉を前にして思う。
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管理人(ハナイ)
長野県須坂市に住む。夫と共に果樹の世話をして収穫して出荷・販売することが仕事。栽培品目はもも・プルーン・りんご・ぶどう・アスパラガス。趣味はMac、写真、庭に訪れるレア度の低い野鳥の観察、CSで撮りためた日本映画を夫と観ること。仕事以外はわりとインドアである。
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